大腿骨近位部骨折について
大腿骨近位部骨折とは?
大腿骨近位部骨折は、大腿骨(太ももの骨)の上部、特に股関節に近い部分が折れる骨折を指します。多くの場合、高齢者や骨粗鬆症の方に多く見られ、転倒や事故が主な原因です。この骨折は股関節に大きな影響を及ぼし、適切な治療とリハビリが必要です。
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治療法
1. 手術的治療
骨接合術: ボルトや金属プレート、ネジを使って骨を固定します。比較的若い患者や骨の状態が良い場合に選択されます。
人工関節置換術: 関節部分の骨がひどく損傷している場合、人工股関節に置き換える手術が行われます。これには、部分置換と全置換があります。
2. 保存的治療
転位が少なく、手術ができない場合には、保存的な治療法が取られます。ベッドでの安静や牽引、ギプス固定が行われますが、長期の安静が必要です。
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入院期間
手術が行われた場合、通常の入院期間は 2~3週間 です。
高齢者や合併症がある場合、さらに長くなることもあります。
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リハビリ期間
リハビリは入院中から始まり、退院後も続けることが重要です。
リハビリの初期: 1〜2週間以内に歩行器や杖を使用して少しずつ歩く訓練を始めます。
リハビリ中期(退院後): 3〜6ヶ月を目安に、理学療法士の指導の下で筋力を回復させ、歩行能力を取り戻します。
長期的リハビリ: 完全に日常生活に戻るまでには6ヶ月から1年かかることがあります。
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予後
大腿骨近位部骨折の予後は年齢や合併症の有無に依存しますが、早期手術とリハビリを受けることで良好な回復が期待できます。しかし、以下の点に注意が必要です:
再骨折のリスク: 高齢者や骨粗鬆症の患者は再度骨折するリスクが高いため、予防策が重要です。
運動能力の低下: リハビリの進捗により、以前のように自由に歩くことができるかは個人差があります。
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予防法と注意点
1. 骨粗鬆症の治療
骨を強化するためにカルシウムやビタミンDを摂取し、医師と相談の上で薬物治療を行います。
2. 転倒防止
家の中の段差をなくし、床を滑りにくい素材にするなどの工夫をすることで、転倒のリスクを軽減します。また、足腰の筋力トレーニングやバランス訓練も効果的です。
3. 運動習慣を保つ
骨や筋力を維持するために、定期的に軽い運動を行うことが推奨されます。ウォーキングや軽いストレッチが効果的です。
4. 定期的な健康診断
特に高齢者は、骨密度検査や血液検査などを定期的に行い、骨粗鬆症の早期発見に努めることが重要です。
結論
大腿骨近位部骨折は、特に高齢者にとって大きなリスクですが、適切な治療とリハビリによって回復は可能です。再骨折を防ぐための予防策も重要で、転倒防止や骨粗鬆症の治療を積極的に行うことが鍵となります。


